キャビテーションは体を切らない脂肪吸引とも呼ばれ、施術により効率よく痩身(そうしん)効果を得られることで女性たちから人気を集めています。
体内に悪い影響があるかどうか、特に生理中にキャビテーション施術を受けても効果は変わらないのか、生理前と生理後のどちらが施術には有効なのか、などの疑問にお答えします。キャビテーションとは、エステサロンや自宅で専用の痩身マシンを用いて行うダイエットの一種です。
マシンから出る特殊な音波により脂肪細胞が細かく振動することで、脂肪内に小さな気泡を大量に発生させます。そして、細かい無数の泡が弾けることで脂肪膜細胞が破れ、脂肪が乳化するのです。
生理中にキャビテーションを受けない方がいい理由
月経が問題になるとすれば、乳化された脂肪を排出する際です。なぜなら、乳化された脂肪はリンパを流れて肝臓で代謝されるので、多くのサロンでは代謝促進のためにキャビテーションの施術とリンパマッサージをセットで行なっているからです。生理中は血液が不足しがちですが、マッサージを行うことで血行がさらに良くなり、経血の量が増えてしまうケースもあります。
また、生理中はホルモンバランスが崩れやすく、むくみやたるみが取れにくくなるといったように、キャビテーションの効果が感じられにくいという欠点もあります。
加えて、生理中は肌が過敏な状態ですので、マシンを直接肌に当てて使用することで、肌荒れを起こしてしまう可能性もあります。人によっては生理痛で気分が悪くなることもあるようですし、衛生面においても決して心地よいものとは言えないでしょう。
上記の理由を踏まえ、多くの痩身エステでは通常、生理中のキャビテーション施術を行っていません。
もちろん、自宅で家庭用エステ機器を用いてやればいいというわけでもありません。サロンによっては条件付きで施術を行うところもあるようですし、一概には言えません。
生理中の心構えや施術に関する注意事項は、申し込み時にサロン側から必ず説明があるはずなので、しっかりと確認しておきましょう。
編集部
もしうっかり生理周期を忘れて施術の予約をしても、エステによっては事前に確認の電話をしてくれるところもあるようですし、キャンセル料がかからなければ、不意に生理が始まってしまった時も気軽にキャンセルができます。
顧客へのサービスがきちんとしている痩身エステサロンを選んでいれば心配はいらないのですが、全てのサロンが満点のサービスを実施できるわけでもないので、利用者側でも最低限の基礎知識は持っておきたいところです。
例えば、キャビテーション施術を受けると生理が遅れる、という口コミをネット上に載せているサイトもあるようですが、実際のところ、生理の遅れとキャビテーションの関係性は科学的に証明されていません。
妊娠が原因で生理が遅れていることもあれば、婦人科系の疾患が原因かもしれません。もしキャビテーション施術に通っているのと同時期に生理が遅れた場合は、速やかに婦人科を受診してください。
生理中はどうしてキャビテーション施術のダイエット効果が期待できないのでしょうか?セルライトの細胞を細かく振動させて空洞現象を起こすことと、毎月の生理には直接の因果関係はなさそうに一見思えますよね。
しかし、痩身のための方法という視点で考えると、女性の痩せやすさと女性ホルモンの関係は決して無視できません。
なぜなら、女性の体のメカニズムとして、妊娠した場合に備えた体づくりと、妊娠しなかった場合に備えた体づくりの、矛盾した命令を同時に実行しているという仕組みがあります。特に生理中は、翌月の体づくりを始めるために一時的にホルモンの分泌量が少なくなり、いつもと体調が違うことによるイライラや睡眠不足といった現象がしばしば起こることになるのです。
ホルモンは自分の意識で増やしたり減らしたりすることはできません。あくまで自律神経の働きにより自然とコントロールされますしかし、過度のストレスや睡眠不足が重なることで、ホルモンのバランスは容易に乱れてしまうので、注意が必要です。
美容エステによっては、ホルモン剤を使用していると施術を断られるケースもありますので、気になる方はキャビテーションの施術を受ける前に、ご自分の通うサロンに確認してみてください。
また、女性ホルモンの働きの一つに、妊娠時に胎児を守り育むための働きというものがあります。簡単にいうと、太りやすくなる、というホルモン機能です。生理前から生理開始時期にかけて、食欲が止まらなくなるのもホルモンが原因です。
編集部
妊娠中はとにかく体がエネルギーを蓄えようと働きますので、妊婦さんがダイエットに励むのは体の機能を逆に働かせるため、過度の負担がかかってしまうため、決してオススメいたしません。
さらに、妊娠中のキャビテーションは、痩身エステマシンから発せられる超音波により発生する骨伝導音が胎児に悪影響を及ぼす可能性も指摘されており、危険性を考慮するとやめておくべきです。
子宮についても、キャビテーションに関わってくる重要事項があります。過去に、あるいは現在、子宮内膜症や子宮筋腫という疾患があった場合、キャビテーション施術により血流が良くなることで不正出血を引き起こす可能性もあります。エステサロンによっては施術を受け付けていないところもありますので、最初のカウンセリングの時点で相談してみてください。
特に子宮筋腫はキャビテーションと相性が悪いです。子宮は平滑筋と呼ばれる伸縮可能な筋肉でできていますが、何らかの理由により、平滑筋にコブが発生する症状を子宮筋腫といいます。経血の量が多くなり、生理が重くなるのが特徴で、血行を良くするキャビテーションをすることで重度の貧血を招く恐れがあります。
編集部
また、細かく質問を重ねることで、サロン側のスタッフが最後まで丁寧に対応してくれるかどうかも、サロン選びで重要な決め手としている利用者も多いようです。
編集部
女性ホルモンの役割と機能を理解することで、痩せやすいタイミングと痩せにくいタイミングを知ることができるのです。せっかくキャビテーション施術を受けるのですから、痩せにくいタイミングを避け、痩せやすいタイミングで受けることで即効性をさらに高めたいところ。
生理前と生理後のどちらがキャビテーションに効果的かについては、女性特有の現象でもある生理周期の仕組みについて詳しく知る必要があります。
そもそも、全てのホルモンは間脳にある視床下部で司っています。女性ホルモンはもちろんのこと、成長ホルモンや甲状腺ホルモンも視床下部で調整されています。全ては視床下部からの命令で動いているのです。
生理周期に関していうと、まず視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンと呼ばれるホルモンが分泌されて下垂体へと到達します。下垂体はゴナドトロピン放出ホルモンという命令書を受け取ると、ゴナドトロピンというホルモンを放出します。視床下部からゴナドトロピン放出までは、男も女も共通の体内活動なのですが、面白いのはゴナドトロピンの行き先です。
ゴナドトロピン自体は男女ともに同じホルモンなのですが、ゴナドトロピンが精巣に到達すると男性ホルモンに、卵巣に到達すると女性ホルモンの分泌を促すのです。だからこそ、男性がキャビテーション施術を受けるのと、女性がキャビテーション施術を受けるのとで、結果が異なってくるのです。
編集部
続いて、子宮内膜の周期について解説します。 通常、女性ホルモンのバランスは子宮内膜の状態で表されるので、キャビテーションとは一見無関係そうな用語に思えるかもしれませんが、ぜひ覚えてみてください。
子宮内膜の周期には、それぞれ卵胞期、排卵期、黄体期という名前がついています。卵胞期は約12日~14日あり、卵胞期の前半は月経とも重なっています。排卵期は全部で約10日あり、前後の卵胞期と黄体期にも約4日ずつ被っています。黄体期も約12日~14日間あり、黄体期が終了するとともにまた月経が始まります。
生理周期に影響を与えるホルモンは複数あり、互いに作用しあうことで妊娠準備のサイクルを回しています。卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)という名前に注目してください。キャビテーションの効率を良くするためには避けては通れないワードです。
編集部
生理後はエストロゲンが増加し、心身ともに好調な時期に突入します。夜間に安眠できることで、目覚めもスッキリし、日中活動的に行動できることで些細なストレスを回避することも可能となるでしょう。また美容やエステも効果が高く、キャビテーション施術に最適な時期だとも言えます。卵胞期は約13日~14日間あるのですが、閉経が近くなると卵胞期も短くなる傾向にあります。
生理後はエストロゲンが増加し、心身ともに好調な時期に突入します。夜間に安眠できることで、目覚めもスッキリし、日中活動的に行動できることで些細なストレスを回避することも可能となるでしょう。また美容やエステも効果が高く、キャビテーション施術に最適な時期だとも言えます。卵胞期は約13日~14日間あるのですが、閉経が近くなると卵胞期も短くなる傾向にあります。
卵胞の中で卵子が成長し始めると、プロゲステロンの分泌も増加し始めます。血液中のプロゲステロンの量が急激に増加し、ある一定量を超えたところから約10時間~12時間後に卵子が放出されます。これが排卵期です。そして排卵が行われた後は黄体期へと移行します。キャビテーションの効果も、排卵期の前後で大きく変わってきます。
排卵で破れた卵胞が閉じて、プロゲステロンが大量に分泌されます。同時に、子宮内膜に水分と栄養が蓄えられていきます。体もまた、受精卵が着床すれば速やかに出産準備へと移行できるよう、食べたものを吸収しやすい、太りやすい体へと変化します。プロゲステロンが大量に分泌される黄体期、特に月経が始まる直前はキャビテーションの効果がわかりにくくなる傾向にあります。
編集部
黄体期は食欲も旺盛になりがちですが、無理に我慢するのではなく、月経に備えてほうれん草やレバーといった鉄分豊富な食べ物を摂取する、食物繊維の多い玄米を食べることで老廃物の排泄を促すというように、食欲増進を逆手にとった対策もありますので、ストレスを溜めない工夫をして乗り切りましょう。
女性ホルモンについてもう少し詳しく解説しますと、別名美人ホルモンとも呼ばれるエストロゲンも厳密にはエストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類が存在します。エストロンは主に閉経後、エストリオールは妊娠中に活躍するエストロゲンなので、キャビテーションに関係が深いエストラジオールについてだけでも知っておきましょう。
エストラジオールは卵巣から分泌されるエストロゲンで、性成熟期に分泌の最盛期を迎えます。エストラジオールは美容に関する役割を担うことが多く、キャビテーション関連の記事で触れられるエストロゲンはエストラジオールを示していることがほとんどです。
プロゲステロンは妊娠の準備を進めると同時に、しばしば体に不快感を与える副作用もあります。
重篤化すると、頭痛、腰痛、精神的不安、肌荒れといった月経前症候群にも繋がります。またプロゲステロンはインスリンの働きを鈍くしてしまう効果もあり、血糖値を下げるために膵臓がインスリンを大量に分泌することになります。そしてインスリンが大量に分泌された結果、インスリンの効能により脂肪が体に蓄えられやすくなり、キャビテーションの効果がわかりにくくなってしまうのです。
編集部
編集部
エストロゲンは生理の終了と共に分泌量が増加し始めるので、生理の終わりかけのタイミングでのキャビテーション施術はフライングだと言わざるを得ません。また、エストロゲンは生理終了時から分泌量を増やし、生理後約4日を過ぎたあたりから急激に増加します。
キャビテーション施術後は、体脂肪が燃焼しやすい状態が約4日間継続するので、エストロゲン量の増加の時期とキャビテーションの施術日の予定を合わせるのが、原理の上では相乗効果を最も得られやすいダイエット期間と言えます。キャビテーションの施術に加えて、食事のバランスや軽目の有酸素運動も取り入れて生活習慣の改善を目指すだけで、美容痩身効果は計り知れません。サウナや岩盤浴、RF波もおすすめです。
もしどうしても生理中の血行不良が辛くて、冷えや頭痛といった悩みから解放されたくなった時は、お腹まわりのハンドマッサージをするといいでしょう。おへその下の周りを手で優しく円を描くように撫でてみてください。へそ下にはリンパ節があり、下半身を巡るリンパの中心となる重要な場所なので、ワンポイントでもマッサージ効果は絶大です。
リンパ管は皮膚と筋肉の間にあるので、力は入れすぎず、痛みを感じない程度に触るのがコツです。家庭でも職場でもすぐにできます。
生理中はあくまでキャビテーションにとって最適ではないというだけで、美容や健康のためにできることは他にもたくさんあります。上記のマッサージももちろんですが、体を冷やさないために毎日湯船に入浴する、冷たい飲み物は極力避けて暖かいものを摂る、入浴後や就寝前にストレッチをして血行をよくする、というのも大事です。
生理中に機器を用いたり、セルフマッサージをしたり、運動や入浴といった、体に直接影響を与えるケアをすることにどうしても拒否感を持つ人向けには、アロマエステをおすすめします。アロマセラピーはただ香りを楽しむだけでなく、脳に刺激を与えることでリラックス効果を引き出すことができます。
編集部
キャビテーションと生理周期の関連性はご理解いただけたでしょうか。
女性にとって当たり前のように毎月来る生理ですが、背景には複雑な体内メカニズムが働いているのです。女性ホルモンの働きはキャビテーションを含むダイエット方法にとって、プラスの面もあればマイナスの面も存在するわけです。
子宮内膜の剥離によって月経は始まり、また新たな月を迎えます。女性ホルモンも生理中は減少するため、体温も低下し、血行も悪くなり、ダイエットには不向きな期間となります。個人差はもちろんありますが、生理中は体調も絶好調とは言えないため、体に余計な負担をかけず、リラックスに努めるのがベターです。
加えて、キャビテーションで血行がよくなり経血量が増えるといったマイナス面もあるので、生理中のキャビテーションは我慢しましょう。
編集部