前後開脚(前後スプリッツ)は脚を前後に180度開く難易度の高いストレッチです。
ヨガのポーズでは「猿王のポーズ」と言われ、サンクリット語では「ハヌマーンアーサナ」といいます。股関節の高い柔軟を必要とするので体の硬い人には難しいポーズです。
しかし、自分は体が硬いから無理だと諦めてはいけません!できるようになると、体の柔軟性が高まることでダイエット効果やむくみ解消などのメリットが大きいです。体が硬くて全然できない方も、あと少しでできそうだけどできないという方も、できない原因を知って的確なストレッチを行えば憧れの綺麗な前後開脚ができること間違いなしです!
前後開脚ができない原因は、筋肉が硬くなっていることです。筋肉は骨とつながっているので、筋肉が硬くなってしまうと、関節や骨を引っ張り可動域が狭くなってしまいます。
筋肉をほぐすことで可動域が広くなり、柔軟性が高くなります。
また、前後開脚は前に伸ばす脚と、後ろに伸ばす脚で伸びている筋肉が異なります。
生活習慣や姿勢のクセなど人によって硬い部位は異なるので、自分がどこが硬いか原因を知り硬くなっている筋肉に効く的確なストレッチを行うことが一番の近道です。
太ももの前側の筋肉は体の中でも最も大きい筋肉群である「大腿四頭筋」があります。前後開脚では後ろに伸ばす方の脚で使われています。
大腿四頭筋が硬いと股関節の可動域が狭くなり伸ばしにくくなります。また、後ろに伸びる脚が曲がってしまいます。
前後開脚で後ろ足が伸びにくいと感じている人は太ももの前側が硬くなっています。
太ももの裏にはハムストリングという筋肉群があります。前後開脚では前に伸ばす方の脚で使われています。
太ももの裏が伸びにくい人はハムストリングが硬くなっています。ハムストリングが硬くなってしまうと股関節が下に引っ張られてしまい、骨盤が後傾してしまう原因にもなります。
背中が丸まってしまうひとは、太ももの前側の筋肉「大腿四頭筋」、太ももの後ろ側の筋肉「ハムストリング」両方弱くなっています。どちらの筋肉もストレッチできていないと、背筋をのばすことができません。普段の姿勢のクセから猫背になっている人も背中を伸ばしにくく、丸まってしまいます。
自分の硬くなっている筋肉を把握し、重点的にストレッチを行うと効率よく体を柔らかくすることができます。
太ももの前側が伸びにくい人、背中が丸くなる人のストレッチ
脚を大きめに開いて、膝を90度にしましょう。
太ももの前側にある大きな筋肉群「大腿四頭筋」の意識して行ってください。5呼吸2セットを行いましょう。(反対も同様に)
太ももの後ろ側が伸びにくい人、背中が丸くなる人のストレッチ
呼吸はとめず、かかとを押し出すようにして太もも裏の「ハムストリング」を伸ばしましょう。骨盤は立てるようにして体幹部を意識し背中は丸くならないように注意してください。
股関節から体を倒すイメージで行ってください。5呼吸2セットを行いましょう。(反対側も同様に)
大腿四頭筋、ハムストリングのストレッチを行ったら次は完成形です!
ダウンドックから片足を大きく一歩前に出し、できるところまで後ろ足を伸ばしましょう。
ゆっくりと前の足を伸ばして、お尻を床につけていきます。反動をつけずじっくり伸ばし呼吸は止めず行ってください。
無理せず痛気持ちいいところでやめましょう。5呼吸2セットを行いましょう。
前後開脚は難易度の高いポーズですが、できるようになると身体にもたらす効果も大きいです。股関節の高い柔軟性を必要とするため、脚や股関節周りの凝り固まった筋肉がほぐれ、血液循環やリンパの流れがよくなります。
血流やリンパの流れがよくなると、老廃物の排出をうながし、むくみや便秘改善につながります。特に下半身は重力により水分が溜まりやすく、むくみがちになってしまうので前後開脚をしてむくみを改善することで、美脚効果も期待できます。
また、日本人の約9割が猫背と言われており、長時間スマートフォンを使用したり頬杖をつくような日常生活のクセで姿勢が悪くなってしまいます。姿勢が悪くなると、骨盤が後傾してしまい猫背になります。
骨盤が後傾してしまうと、お腹の筋肉によって支えられていた内臓が下がってしまうため、ぽっこりお腹になってしまいます。前後開脚は骨盤が立ち、矯正されるので内臓が正常な位置に戻りぽっこりお腹を改善する働きがあります。
いきなり完成形に挑戦すると股関節や脚を痛めてしまうので、ゆっくり段階を踏んでから徐々に完成へと近づけるよう少しずつ挑戦しましょう。
【監修】
ヨガインストラクター:西畑亜美
鍼灸師・マッサージ師:山下祐一郎